受注した仕事をキッチリと仕上げる。これは当たり前である。
我々建築屋の誇りに掛けても、喜ばれる仕事にしたい。
初めて接したお客様から「手抜き工事される事が怖い」と言われた。
地元密着型企業である我社に手抜き工事は命取りになりますが、熱心に説得したところで、初めてのお客さんからすると我々は経歴の浅い、心配な小さな工務店に過ぎない事を思い知ります。
建てた後も責任を持たなければならない建築屋の場合、建てた後にすぐに問題が発生する様な手を抜いた仕事は、しないのが当たり前です。
それならなぜ建築屋の手抜き工事の話題がよく取り沙汰されるのでしょうか?
松井修三さんが書かれた「いい家が欲しい」がベストセラーになっています。
そこには、いくら安くすると言っても、最低限の仕様・構造を考えれば限界があると言っています。
安くて良いものは、無いと言いきっています。
今は、建築不況で建築屋は、仕事が欲しいから何ぼでも安くすると思われています。
確かに周りを見回しますと、この業界は、仕事の取り合いで赤字の会社が多いのも事実です。
なぜ赤字でも仕事をするのでしょうか。
社員や職人を遊ばせているよりも仕事をさせている方がましやと言う考え方があります。
また、仕事が無ければ金融機関からお金が借りられないと言うこともあるでしょう。
でもシワ寄せは、下請けさんや職人さんに真っ先に来るのが普通
です。
お客様から値引きをされた分、値引きを求められるのです。
それでも、仕事があれば一生懸命仕事に取り組むのが職人魂というものです。
台所事情の苦しい元請の事情を知って要望になるべく応えようとするのも事実です。
我々の稼業は、工事利益率が10〜20%の業界です。
その利益率のもたらす収益で現場管理費や会社の諸々の経費を捻り出さなければなりません。赤字と言うのは、単純にそれが賄いきれていないのです。
赤字の現場、儲からん現場のメンテナンスを本気でするか?と言うことですが、施主と工務店と職人が三位
一体になって、息があってこそ良い仕事が生まれることを我々は、経験上知っています。それ以外は何もありません。
この仕事(普請)が、皆の総意で成功させたいと意気で固まってこそ上手く行くと思います。
建築屋は、貰うお金の嵩が大きい為、よほど儲かるように思われています。請負業である我々は、利益管理目標は立てますが仕事が終わるまで利益が出るかどうか判りません。
請け負ける事だってあるのです。
私の知っている限り職人さんは、ほとんどが借家住まいです。
大工さんが、自分の家を建てる機会もあまり見たことがありません。
そんな職人気質に助けてもらって何とか息が出来ているのです。
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