職人の話し.2

旅行をしての楽しみの一つに、建造物や町並みを見る事があります。
設計やデザインをした人は、先生と呼ばれたり、街づくりを推進した時の権力者も名を残しますが、実際に土木工事や建築工事に携わった多くの職人や労働者の名前が残ることは、滅多に有りません。

日本に限らず歴史に残る建物・町は、全て根気良く“人の手”で造られて来たのです。
「俺達が作った」と言う誇りが、職人の心意気です。
計画してもそれを実行するのは、土方であり大工であり左官と言った職人さん達です。泥だらけになり、ホコリまみれの重労働でやり遂げてくれます。

大工も左官も建具師・鳶職も古くからある歴史のある職名です。
今でこそ、労災保険の制度が出来て、怪我をしても治療費補填や休業補償に障害者補償まで行われる様になりましたが、体一つが資本であるこの稼業は、労働環境において、昔も今もあまり変わりません。高所作業や地下の作業、狭小場所の作業や不安定な足場の上の作業、崖地の作業や水中の作業等です。
完成した建造物は綺麗でも、建築工事中は泥まみれです。当たり前ですが肉体労働をしてくれる多くの職人さんが居て始めて出来上がるのです。

そこには、鍛えられた筋肉と器用に仕込まれた訓練と経験(熟練の技)があります。
土を掘り返し埋め戻しするだけにみえる土工の仕事も、力任せにしたのでは、一日中続けることは出来ません。人間の手は、体験を積めば積むほどに技術が進化するのが特長です。
“手”に覚えこました道具を使いこなす能力は更に磨きが掛って行きます。

修行を積んで向上していく技術。集団でモノを作っていくことの喜び。
職人さんに自分達が作る“作品”という意識が在って責任を持った仕事にしてもらえます。

建築屋さんが責任を持って工期・品質・を管理して下さいと言われます。
確かに、我々にとってそれは主要な仕事の一つです。
大袈裟の様ですが、お客様の立場に立って、我々と職人さんとの真剣勝負です。
お客様は、“夢”を買われる訳ですし、我々はコストと言う“現実”と“時間”との戦いです。
それだけに完了、完成時に出来上がったものを振り返って達成感と喜びがあります。
他人のモノであっても、“自分の作品”だからです。

建築の仕事は、工期が半年、1年になることはざらです。
暑い時、寒い時、大雨時、台風などの大風の中の作業を一緒に頑張って竣工に到達です。
一つ一つの現場に思い入れの無いはずがありません。

職人さんと握手を交わしてみますと一応にごつごつと逞しく変形した手が多く身体の傷の多いのも事実です。
それは体を張って仕事をし、身体に刻んだ職人としての歴史です。

2005.7.04
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