お施主さんからは、大抵そう言われます。私共も『快適な住まい作りをさせて頂きます』と答えます。
しかし、人は十人十色です。
少人数の我が社でも、“夏の冷房”“冬の暖房”を巡って設定温度の男女差で揉める事があります。
男女とか大人と子供そして、生まれ育った場所などによっても“快適”の概念は変わると思います。
タタミは、要りません。障子や襖は破れないものを!
合理性を追求すればそんな話も出ます。
逆に自然素材の家を作って欲しい。地震に強い家を作って欲しい。明るい家が良い。とお客様の要望は、様々です。
万人向けの住まいなど無いと思うのですが、既製品の住宅のコマーシャルは、“快適な住まい作り”が主力となっています。
高気密・高断熱も売り物です。人工的な、暖房や冷房の場合、高気密・高断熱は確かに効率が良いに違いありません。暖かくて夏は涼しくて年寄りには快適に感じられるでしょう。
でもこんな家で育った子供たちは“もやしっ子”にならないか心配です。
我々の時代は、映画『ALWAYS三丁目の夕日』に描かれたように“家”にある日、冷蔵庫が入り、テレビが来てそして自家用車に乗れる日を夢見たのです。
つまり段階的に変化して改善されて来たのです。
今はそれが当たり前、生まれた時から全てが揃っている生活。
国際化の中で日本の標準が世界の標準であれば何とかなっても、和式トイレは使えない、お湯の出るシャワーが無ければ風呂じゃないと若い人の条件を満たしますとそれ以下の生活をすることは、難しくなって行きます。
「逞しく育って欲しい」誰でもわが子に対しては、普通
そう考えています。
本当に逞しく育ってもらいたいのなら、若い人の住空間と年寄りの住空間は同じ家の中でも、明らかに仕様をかえても良い様にも思えます。
私の年の離れた従兄弟の新婚の新居は、普通の家の2階に間借りしていました。
私も何も考えずに訪ねて行っていましたが、今から考えると他人の同居人と風呂やトイレは、共用です。
二階家の出入り口は、襖で勿論鍵などは付いては居ませんでした。
プライバシーも何も無かったと思いますが、まあホームステイしていると思えば当時の住宅事情では若い新婚さんの家賃負担では、それが町では極標準的であったのだと思います。
そんな結婚生活からスタートした二人でしたが、枚方の公団住宅に住んだ後、高槻郊外の新興住宅地にプレハブで家を建て東京に転勤になったときにその家を処分し埼玉
に居を移し、今も戸建て住宅に住んでいます。
住空間を徐々に改善して行ったのです。
新婚当時に“自分の家”を持つことが“夢”であったに違いありません。
そうなんです、家を持つというのは多くの人の“夢”なのです。
我々工務店は、お客様の“夢”実現の為にコストという現実と戦わなければならない厳しい稼業なのです。
しかし理想の住まい作りは、我々にとっても“夢”です。夢だから実現は難しいし、達成することも程遠いのですが、それだからチャレンジし甲斐があるのです。
だから引渡しをした時点が最高でただ古びて行くだけの近代的な家ではなく、住んでから趣を加えて行く様な昔風の和風住宅は、理想的の住まいの様に思えるのです。
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