どこに基準を置くか?2

住宅や建物の建築でも“どこに基準を置くか”で品質やコストに大いに係わる事になってしまいます。
建物の好き嫌いには、個人差があります。でも強い建物が欲しいというのは、共通 の要望でしょう。長持ちする家であって欲しいは、皆さんの希望でしょう。

予算が決まっているのであれば、先ずは大きさを絞ることです。形は単純にすることです。
基礎・土台・構造をお粗末にする事、そこに使用する材料をケチることは、先ず強くて長持ちする建物にする条件からは遠のく事になるでしょう。
建築屋を叩いて安くして良いものを手に入れることには、正直言って無理があります。

建築屋として努力をしないと言っているのではありません。“勉強”にも限界があると言っているのです。
我々には、常に競争があります。
競争の第一が、コストであったとしても、我々にも技術屋としての誇りもあります。プライドを掛けた競争です。
その“誇り”に掛けても建てたいのは丈夫で長持ちのする“建物”です。
このお客様と共通の“戦略(共通の目標)”に基づき仕事を進めることに異議は無いはずです。

現代は、思いつきで欲しい物を手に入れてしまう事が多くないでしょうか。
建築は計画性が一番大事な事業です。
計画の段階で中途半端な納得のまま進めたのでは、いい納まりにはならないのが普通 です。
居住性が一番目、デザインは本来はその次です。
しかしデザインが最も目立つためデザイン性重視になっているのが多いのも現実でしょう。
デザインのためなら多少不便でも構わない。カッコいい家に住みたい。
カッコよくて、住み易くて丈夫で長持ちのする家。施主も建築屋も勿論共通 の目標はそうなるでしょう。

家を建てる時の基本的な考え方は、冬暖かくて、夏涼しい事。台風にも地震にも持ち堪えることです。
しかし、台風に強くは屋根を重たくですし、地震に強くは屋根は軽くです。
夏涼しくは、夏の日差しはカットですし、冬の日差しはたっぷりです。この矛盾点を考慮した上で計画を煮詰めていく必要があります。
それ以外にも紫外線は、物質を破壊しますし、酸性雨や排気ガスは、塗装や銅版にも影響を与えます。
庇や水切りそして犬走りは、そんな環境にまで配慮して設置する必要があるかもしれません。

次に建物は、バランスです。重い屋根でも柱がしっかりしていれば大丈夫でしょう。基礎と土台と構造にお金をケチらないで下さいの意味がそこにあります。
目に見えない所に建物の命があります。安全住宅と言いますと、今では泥棒や強盗に入られ難いホームセキュリティ住宅を言うようですが、人の命に係わる安全は、先ずは台風や地震が来ても安心であることでしょう。
地盤の状態が悪いのにカッコの方に金を使って地盤整備や基礎を疎かにすれば結果 は、直ぐに出てしまいます。

坪単価を直ぐに気にされますが、地盤の状態(切り土・盛り土)や地形・風当たり(海の傍であったり、川や池の傍であったり斜面 地や崖地の傍であったりと条件の違う土地で建てる以上全く同じ大きさの同じ家を建てたとしても実際は、坪単価は違ってきて当たり前なのです。

2006.4.6