『姥捨て山』にみる母親の逞しさ

『姥捨て山』
昔ある村があり親が60になるので山に捨てに行かなければなりませんでした。
いざ、その日になり親を背負い山を上り始め、ふと気がつくと親はあちこちで白い花を摘んでは道にばらまいています。男は「これをたどって里に帰るつもりだ」と思い親に「頼む、これもきまりなんだ勘弁してくれ」と言います。
しかし親は山で木の根などを食べて生き長らえないように自分で歯をすべて先日壊してしまったために話すことができません。親は悲しそうな目をするだけで男もつらかったのでそれ以上何もいいませんでした。
そしてかなり奥地につき親をおろし最後のお別れをします。男にとっても親を捨てるのはとてもつらいことです「勘弁してくれ、勘弁してくれ」男はそう何度もいいながら親に謝りつづけます。その親は悲しそうな目をしながらも何かを言っています。手を振っているところを見ると早く帰れと言っているようでした。そして男は親を置いて山道を戻り始めました。
しかし奥地に来てさらに時間を掛けすぎたせいか辺りは真っ暗です。来たことが無い地でさらに真っ暗になってしまったので男は山の中で迷子になってしまったのです。
男は途方にくれました。今の時期は冬なのでこのままでは凍死してしまいます。焦る男の目に白いものが見えました。そうです、親が道にばらまいていた白い花です。それは点々と、しかし確実に帰り道に向かっていました。
男はその時初めてわかったのです。親は自分が帰るためではなく遅くなって男が迷わないように花をばらまいていてくれたことを。
男はさめざめと泣きました。親はあくまで捨てられるのは覚悟の上でさらに子供の為に最後の愛を残したのです。

 

千里・住まいの学校で(社会福祉法人 大阪府社会福祉事業団)高齢者総合福祉施設『豊寿荘』の見学に行ってきました。

エントランス廊下
下駄箱と各人別のメールボックスがあります

調理室もガラス越しに見れます。磁調理器を使用していました。
 

スタッフは写真入で貼り出してあります

廊下はコルクの床材でソフトですが、水が使えず掃除が少し大変!
 

風呂場

外 観
   

『豊寿荘』を“姥捨て山”と言いたいのではありません。“姥捨て山”に出て来る母親(女性)の逞しさに魅せられます。

今、この施設に入所されている方の7割が女性だそうです。女性の方が長生きですからそうなるという事もあるのでしょうがやはり団体生活をするに当たって女性の方が社交的で集団生活に馴染むみたいです。社交的である事は長生きの条件の1つでもあります。
この施設は、介護施設として内容も充実していますし、すれ違う人は、入所者もスタッフの方も愛想よく挨拶をされます。案内してくださったスタッフの方も大変しっかりしていました。
年老いてから子供達や身内に迷惑を掛けたくないと割り切られて老人施設に入る事を決断されるのも、女性の方は早いようです。我々が将来、入りたいとか入りたくないとか言う議論をするのではありません、誰しも年老いていく以上この様な施設に絶対お世話にならない保証は、誰にも無いのです。しかし我々には60年ではなく生きていれば、それ以降の人生が保証されています。それだけでも恵まれています。

2007.6.23