『笑山会総会』で思ったこと

梅田の居酒屋で山歩きの会の総会をしました。
この総会では活動報告の他、目的がもう一つありました。この会に所属するお二人が今年、還暦を迎えたのでそのお祝いを簡単にしたかったのです。
二人とも仕事は現役ですし元気です。この歳でお祝いをされたいとは全く思っていません。
60歳は、昔の事を思えば確かに若い。 本人達も年寄り扱いされてたまるか!と言う思いもあります。

私の父が、還暦を迎えた時、子供三人で赤いチャンチャンコを贈りました。
我々の父親は素直に喜んでそれを着てくれました。その時、私の父親もまだ現役のサラリーマンです。その時贈ったチャンチャンコを着てもらって写 真を撮るのを目的としましたが、 笑山会の二人がこの赤を抵抗無しに着るか少し心配していました。
お酒の入った勢いで、以外にあっさり着てくれて、 結果いい“還暦”の記念撮影となりました。このお似合いの写 真を見せられないのは残念です・・・

私の父親は、3年前に89歳と10ヶ月で亡くなりました。
傷痍軍人でしたから、60歳の時に喜んで赤いチャンチャンコを着てくれたのは、 多くの亡くなった戦友と比較して、自分の敗戦後の人生が還暦まで迎えられ、 恵まれ幸せであることに感謝していたのだと思います。

今は、77歳の喜寿や88歳の米寿を祝う話は世間によく見かけます。
還暦は、昔ほど重宝には扱われていません。希少価値もない・・・?
でも、 新聞の有名人・著名人の死亡広告を見ていますと年齢の若い人が意外に多いいです。
勿論、戦争に参戦すれば、死んで行く中心はもっと若い青年達です。
死体の間で、怪我人として生き残った私の父親は、 戦争の実体験のことは生涯一切話しませんでした。体験を話さなかったことが、一番現実を物語っています。生涯平和主義者でしたからね!

まだ60歳は、若いと還暦など拒否したい気持ちは、還暦に近い私にも判ります。
しかし、父親の世代は生き残った幸運を還暦の年にも味わえたのです。
我々は、豊かです。一方戦争を実際に体験してきた人も大変少なくなりました。赤いチャンチャンコを着ておどけて見せてくれた父でしたが、こと戦争に関しては、「戦争は仕掛けても、参戦してもならん」ときっぱりと言い切ります。
政治家の方は、軍隊を持たないことは現実的でないと言います。でも第二次世界大戦で犠牲になったのは、職業軍人では無く多くの一般 国民です。それに政治家の方が、真っ先に戦争の最前線に出て行くとは思われません。
21世紀になって還暦を祝う目出度いそんな場面を作りながら、ナゼこんなにも多くの人たちが犠牲になり不幸になったのに戦争と、その元凶である武器を無くす議論が起こらないのか不思議です。人間はそれ程、お互いに信頼も出来ず理想も持てない存在なのか?

2007.10.18