笑山会『2008年3月の大文字山』

3月16日の日曜日に京都の大文字山に登って来ました。
JR山科駅からゆっくり歩いて2時間ぐらいで山上に辿り着きます。

大文字山の正式名は、如意ヶ岳です。
標高466m。
五山の送り火の際には、「大文字」の送り火を中心に、「鳥居形」「妙法」「船形」「左大文字」 が送り火となります。
お盆に迎えた精霊を8月16日に送る伝統行事です。
“五山の送り火”は、葵祭・祇園祭・時代祭と並んで京都四大行事と言われています。

山科駅から15分くらいの所に毘沙門堂があり、もうすぐ、桜の名所となります。
枝垂桜が特に有名で、4月10日以降ぐらいに見頃になるようです。

送り火の話に戻りますが、“火”は使い方によっては便利ですが、一方では“恐れ”の対象です。あらゆるものを燃え尽くしますから・・・
だから信仰の道具にもなります。

でも、京都盆地の到る所からから眺められる送り火は、京都市民にとって良く考えられたイベントだと思います。
京都は、他の都市と比べて高層の建物が少ないのもこの行事があるお陰だと思います。

今の若い人達が、五山の送り火をお盆にお迎えしたご先祖の精霊を送る火と見ているかどうかは別 にしても、暑い夏の終わりに誰にでも見える様に火を焚いて眺めながら、意味を伝承していくとするならば、京都市民の“心”の意思統一は永年に亘って培われて来たはずです。

都市は、町並みや景観や環境や生活エネルギー整備や道路、交通 整備以外に地域住民の生活意識の交流や安定が必要です。
その点で京都にある寺や神社や行事が大きく寄与していることは、間違いがありません。世界的に見ても、大変よく出来た“町”の様に感じます。
大文字を“風水”とか“厄除け”とかの意味で捉えるのも間違いではないでしょう。

でも大文字山からの京都一望は、高さといい、範囲といい精霊が振り返る絶妙の高さであることが、その場に立つと分かります。

京都は、神や仏に俯瞰された町です。
大文字山を下山後“ますたに”今出川店で中華そばを食べた後、吉田神社のある吉田山から大文字山を振り返りました。

2008.3.16