星宿海への道
宮本 輝さんの小説「星宿海への道」を読んで、尾道に行きたくなり、行ってみた。

“星宿海”は、中国 黄河の源流にある多くの湖の集まる場所と紹介されています。

主人公は、3人。瀬戸雅人、瀬戸紀代志の血の繋がらない兄弟と瀬戸雅人の恋人樋口千春。
この三人の数奇な運命と出会いは、空と海との境目の判らない瀬戸の美しい風景(満天の星が海と空が一体となって輝く天体の景色)によって印象的です。
つまり、日本の“星宿海”。

その小説の重要な、舞台となっているのが、広島県尾道市と現在は、しまなみ海道で結ばれる愛媛県大島にある亀老山展望公園です。

どんな苦しい思い出も、共に見た共通の風景によって癒されるのか?
どんなに醜く、息苦しい人生も宇宙に存在する地球と言う星から満天の星を眺めているうちに違ってくるのか?
確かに、一日に昼と夜とあって人生にも夜と昼とがあって、夜にうつむいたまま足元だけ見て過ごすのと星空に気付き見上げただけで、気持ちを変化させる力を持った星空の在る事を我々は普段、忘れているのです。
都会では、ほとんど見上げて見る事がなくなった風景、見過ごしていた空を見たくしたのは、この小説の大きな力でした。

2008.12.23