気質

第81回アカデミー賞の外国語映画賞と短編アニメ賞に日本の作品が選ばれました。
日本の文化が海外で高い評価を受けています。
アインシュタイン博士は、大正時代に日本を訪問した際に
『日本人が本来持っていた個人に必要な謙虚さと質素さ、日本人の純粋で静かな心、それらすべてを純粋にたもって忘れずにいてほしい』
と言われたそうです。

私共のお客様のおばあちゃんが足を骨折した時、救急車を呼ぼうとした家族に「近所の方に救急車が来たら恥ずかしいから家の車で病院へ送って欲しい」と言ったそうです。
家族がその時一人しか居らず、車まで乗せることも難しく、運び方で容態を悪化させたらダメなので救急車を呼ぶと説得をすると今度は、「このままの普段着では恥ずかしいので、下着も服も着替えて行く」といったそうです。
「緊急の出来事で一刻も早く処置せないかんのに病院に行かせるまで大変やった」とその家族の方。
その後87歳のおばあちゃんは、リハビリを含めて3ヶ月間の入院生活を終えて無事帰って来られました。

この頃は、介護保険の仕事をよく頂戴します。
介護認定を受けた方の段差解消や手摺取り付け等の仕事です。
そのおばあちゃんの家族の方からそのお話を伺ったのは、もうすぐ病院から退院してくる頃です。
実は、帰ってきてから家で活動するのに支障のない様に手摺等を取り付ける段取りを頼まれたのでした。
しかし、学校の先生を定年までされたおばあちゃん先生は、歳いってからこれ以上国に面 倒を掛けるわけに行かないといって介護保険を使う事も、そしてそんなものを使うと体の機能が退化するから今までと同じ生活スタイルを通 すと拒否されたのでした。
我々は、仕事にはなりませんでしたが、この大正生まれ人間の頑固さと強さと頑張りには頭が下がりました。

昨年のNHK大河ドラマの『天璋院 篤姫』は高視聴率を維持して終わりました。
天璋院は当時の手紙で『諸侯(大名)には頼むに足る器量 の者もおらず尽力してくれる者もいない』と嘆いています。幕末の日本の男子も頼りにならなかった???
やむなく天璋院・静寛院が“大奥発の触”を出します。
『いま、徳川家の存続のために官軍と話し合いを進めています。今、恭順の意を失っては元も子もなくなります。静ひつを保つように』と指示。
幕末に大奥に脈々と息づいていた女性たちの知性と才能が緊急時に一気に花開いたと言われています。どんな場合でも女性の冷静さ沈着さを思い知らされます。

2009.2.23